退職代行業者は、大きく分けて3種類あります。
インターネットで『退職代行』と検索してみると、様々な業者がヒットします。
業者ごとに特徴がありますが、大きく分けて3つに分類する事ができます。
その3つとは…
・弁護士事務所が運営する業者
・労働組合が運営する業者
・それ以外の業者
この3つです。
それぞれの特徴は後述しますが、この全ての業者に共通する点は『退職を代行します。』という目的を標榜している点です。
どこにお願いしても退職出来るなら、どこにお願いしても良いのでは…?
利用者の目線からするとそう感じるかも知れませんね。でも、そうやって安易に業者を選んだことで、要らぬトラブルに巻き込まれる事例が、ここ最近増加しております。
ええっ!?トラブルを避けたくて業者に依頼しているのに、それでは本末転倒です。
仰る通りです。では、どのように業者を選べば間違いが無いのか?また、どのようなトラブルが考えられるのか?実例を踏まえて紹介していきましょう。
「退職出来れば何でも良い」は危険です!
退職代行を利用する方の目線からしたら、目的は『退職する事』ですので、『その目的が達成出来るなら業者はどこでも良い。』と考える人は少なくありません。
その場合、業者選びの判断基準としては、『価格』が基準となることが考えられます。
どこにお願いしても退職出来るなら安い方が良い。それは当然の事だと思います。
しかし…
ここの心理を巧みに突いてくる悪質な業者が一定数存在します。
悪質な業者…具体的にどのように悪質なのでしょうか?
はい。これからその実例を箇条書きにいたします。
・無料相談を受けてもらい、利用するか検討する段階だったのに費用を請求された。
・検討の結果、利用を断ったのにキャンセル料を請求された。
・退職自体を失敗され、状況が代行前より悪くなったにも関わらず、料金だけはしっかり取られた。
・退職まではスムーズに出来たが、それ以外のやり取りは範囲外と言われ、別料金を請求された。
このような金銭トラブルの事例を耳にする機会が、ここ最近急激に増加しております。
怖いですね…これらを見分ける事はできるのでしょうか?
はい!可能です!
また、そもそも不当な請求をされた場合、支払う必要は一切ありませんのでご安心ください!
依頼する前に費用をよく確認する。
ほとんどの退職代行業者では、無料の相談を開放しております。
相談の形式は電話であったりメールであったり様々ですが、どのような形式でも、まずは『費用の確認』をするようにしてください。
ポイントとしては…
・代行にかかる総額。(ホームページなどで掲載されている金額に相違が無いか。)
・追加で費用が掛かる事がある場合、その条件。(※基本的には、追加で費用がかかる業務を相談者に無断で請負う事はありません。その可能性があるような事を言われたら警戒してください。)
・依頼を断った場合、キャンセル料などは発生しないか(※発生すると言われたら即断ってください。)
・代金の支払いタイミングの確認(先払い・後払いなど)
ざっくりとこの辺を確認すれば、余計な金銭トラブルを回避する事ができます。
なるほど!とても参考になります!
『価格が安い』という理由だけで、安易に飛びつくと危険という事ですね!
その通りです!悪質な業者の多くは、相場よりも低価格で案内しており、利用者からすると『利用しやすい』と感じますが、退職は人生において重要な選択ですから、慎重に見定める事が大切です。
確かに退職がスムーズに出来るかどうかで、今後の人生にも色々と影響しそうですね。
費用面以外で、業者を選択する基準って他にもありますか?
はい、あります!
次でどのような業者がどのような特徴があるのか?を解説いたします。
どこが運営しているのか?を見定める。
この記事の冒頭で、退職代行業者は大きく3つに分けられるという事をお伝えしましたが、それぞれどのような違いや特徴があるのか?そのあたりを解説いたします。
1.弁護士事務所が運営する業者
退職代行を検索すると、弁護士事務所がヒットする事が多いと思います。これは、弁護士事務所が運営しているからです。
弁護士事務所の運営する業者に依頼するメリットとしては、『全ての業務を請負う事が出来る』この点が最大のポイントです。
そもそも退職代行の業務の多くは、弁護士法第72条により『弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で法律事件に関し、代理・仲介・和解その他の法律事務を取り扱うことはできない。』と定められています。つまり、弁護士資格を持たない業者が、企業などに対し『示談交渉』などを行う事は法律で禁じられており、行った場合『非弁行為』に該当してしまいます。
この『示談交渉』の中に、どのような交渉が含まれているかと言いますと…
・有給取得に関する交渉
・業務引き継ぎなどについての交渉
・企業が必要とする契約書等の締結
・未払い給与などについての支払い交渉
・貸与物の返還、私物の返却などの交渉
・退職日の調整・交渉
・企業からの和解に対する交渉
・損害賠償請求を受けた際の対応・交渉
これらが全て含まれております。
えっ?こんなにあるんですか!?
じゃあ弁護士事務所じゃない業者って何が出来るんですか?
端的に申し上げますと『退職届を本人の代わりに提出する』だけです。
じゃあ代行してもらった後に、色々問題が発生しても対応してもらえないという事ですか?
残念ですが、その通りです。中には法律なんて関係ない!というノリで交渉まで行う業者もあるようですが、違法行為ですのでオススメはいたしません。
2.合同労働組合が運営する業者
弁護士事務所の次に目にするのが、合同労働組合が運営する業者です。
合同労働組合とは、日本における労働組合の組織形態の一つで、所属する職場や雇用形態に関係なく、産業別、業種別、職業別、地域別等に組織すること。ユニオンと称される事もあります。
主に、組合の無い中小零細企業の労働者が個人単位で加入するが、社内労組にも加入している大手企業の従業員が加入する場合もあります。
さて、この合同労働組合が運営する業者ですが、前項で『非弁行為』に関する説明をしました。しかし、合同労働組合は弁護士ではありませんが、団体交渉権を持つ労働組合という位置づけになりますので、基本的には企業との直接交渉が認められております。
では弁護士事務所が運営する業者との決定的な違いはどこか?と申し上げますと、『裁判になった際の代理人を務める事が出来ない。』という点になります。
つまり、退職に関しては心配なく任せられそうですが、退職に関するトラブルが発生した際には、やはり弁護士事務所に依頼するのが一番安心と言えるでしょう。
また、にわかには信じられない話しですが、労働組合を自称していても、その団体が労働組合法における労働組合の定義を満たしていないケースもあるそうですので注意が必要です。
こちらは余談ですが、先述した『金銭トラブル』の『キャンセル料を執拗に請求される』といったケースでよく聞くのが、この合同労働組合が運営する業者です。ご利用前に、しっかりと費用の確認をするようにしてください。
一般人が一番対応に困る部分が対応出来ないとなると、やっぱり少し不安ですね…
そうですね。とはいえ、裁判などに発展するケースは稀だとは思いますので、ご自身でそこまでのリスクが無いという自信があるのでしたら、合同労働組合の退職代行も選択肢に入ってくるとは思います。
3.それ以外が運営する業者
1.の弁護士事務所、2.の合同労働組合のいずれでもない、つまり一般企業が運営している退職代行業者です。
ここが一番要注意です。
先述の通り、退職に関する多くの業務は弁護士、または弁護士法人にしか認められておりません。では、どこまでの業務を請負う事が可能なのか?と言いますと、『本人の代わりに退職届を提出する』ところまでです。
これはどういう事か?と言いますと、聞こえが悪い事を承知で申し上げますが、『友人に頼んで退職届を提出してもらう』のと大きな差はありません。
退職自体に失敗したり、中途半端に介入された事で余計なトラブルを増やされて、代行前より状況が悪くなってしまったという相談も、こういった業者に依頼された方からよく受けます。
上記のように退職失敗した場合でも、ほとんどの業者は返金には応じないそうですので、特に注意してください。
流石にココに依頼したいとは思えませんね…。でも、サービスが不十分なのに業者はいっぱい存在しているのはどうしてなんでしょうか?
それはズバリ、利用される方が多いから!です。
えっ?3つの内、一番サービスの品質が低いのに利用者は多いんですか?
はい。私としては非常に悔しいですが、その通りです。
そしてそれには理由があります。
その理由とは…価格です。
価格。つまり『安い』という事ですか?
その通りです。基本的に、この3つの分類を価格帯順に並べますと…
高い←ーーーーーーーーーーーー→安い
弁護士事務所>合同労働組合>一般企業
と、こうなっております。
なるほど…安さにつられて飛び込んでしまうんですね…
そういう事です。
でも結果的に退職を失敗し、その後で弁護士事務所に改めて依頼をすることなどを考えると、費用面でもけっしてお得ではないと考えていただいた方がよろしいかと思います。
なるほど。よくわかりました!
ありがとうございます!
まとめ
この記事では、様々な退職代行業者の特徴と、それに伴う注意点などを解説いたしました。
やはり退職は人生において重要な決断となりますので、あまり費用などをケチらずに、ご自身のご希望をどれだけ満たしてくれるのか?を基準に選択する事をオススメいたします。
また、退職時に起こるトラブルなどは十人十色で、事前にはどのようなトラブルが発生するかを100%予測する事は困難です。ですので、どのようなトラブルが発生しても安心して対応してもらえる弁護士事務所の運営する退職代行が一番安心だと思います。
ただし、弁護士事務所が運営する退職代行でも、弁護士の名前だけを借りて、実態は一般企業が運営しているというパターンもあるそうですので、ご相談時に、間違いなく弁護士法人が運営しているかの確認をした方が良いでしょう。
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